2013年05月14日
奥駈道の奇蹟
・・・待ち人を持つものは仕合わせだね。
武者小路実篤:トビアスの帰り より
これはフィクションではありません
本当にあった、まさに奇蹟としか言いようのない物語です
実は今回の奥駈け行で、29日に山中でデジカメを拾いました
その時の私はまだ体調も良かったにもかかわらず、周りの景色には目もくれず
なぜか下ばかり見て黙々と歩いてました
すると、道脇の草むらにオレンジ色の四角い物体が・・・
「デジカメだ・・・先行者が落としたんだろう・・・」
その程度の思いでカメラをチェストバッグに入れてそのまま歩きました
その後の宿ではデジカメを落とした人が居ないか聞いてみましたが誰もおらず
さらに先行しているのかもしくは順峯(逆行)の方か・・・
結局持ち主は解らず終いでそのまま家まで持ち帰りました
ここが自分でも不思議なんです
持ち主の見つからないカメラを拾ったにもかかわらず“得した♪”という気分にはなれず
かといって警察に届けるでもなく・・・
なぜか持ち帰ったんです
持ち帰っても、このカメラを自分の物として使う気にはなれませんでした
無性に持ち主を捜してみたくなりました
無駄だと解っていても、愚行と思っていても
なぜかほっとけなかったんです
あの“ジンクス”を思い出してみてください
この感情って奥駈けを歩いた人なら解ると思います
それから毎日、ホントに毎日ネットで検索かけました
2013GW、奥駈道、デジカメ、紛失 etc...
思い当たるキーワード片っ端から検索かけました
しかしヒットには至らず
そして先日の日曜日
失礼とは思いながらも電源を入れ、データを確認してみました
4/27からの奥駈け行の写真が入っていました、1人の男性が写っていました
この人が持ち主なんだな・・・
そして見終わってふと気が付いたんです
男性で、出発の日時、宿泊日と場所・・・
この行程って・・・もしや!!
思い当たる節がありましたがこちらからは連絡の取りようがありません
祈る気持ちでコメント欄にメッセージを入れました
「読んでくれ!気が付いてくれ!」
反応がありました
そして・・・
奇蹟が起きました!!
まさに奇蹟としか言いようがありません
今回の奥駈け行記事に何度かコメントを入れてくれたカズさんの物でした
なんということでしょう
胸が熱くなりました鳥肌立ちました
念のため、カズさんには機種名と色の確認をしました
カズさんはデータ内容、機種名、品番、ボディーの傷に至るまで正確に覚えており
それを伝えてきました
ここまで持ち主に大事にされている“道具”にさらに感動しました
『物にも心』
このカメラは持ち主の元に帰りたかったんでしょう
その想いがあったからこそ私に拾われたんだと思います
今にして思えばあの状況は不自然としか思えません
落ちてると言うより置かれているって感じでした
カズさんと私の間には何人か山行者も居たはずです
なぜ私にだけ見えたのでしょう?
雨の降る前日というのも単なる偶然でしょうか?
そしてカズさんはカメラ紛失には一切触れずに
今回の自身の行程のみを私のブログにコメントとして書き込んだ
“私が拾った” “カズさんが行程をコメントに入れた”
この2つの偶然が奇蹟を呼んだのです
1個の道具(カメラ)によって奇蹟が産まれたのです
全くすれ違うことすらなかった時間と空間がシンクロしたのです
何度も言いますがこれは事実です、本当にあった話です
何かを感じませんか?
何かを感じ取って頂きたいのです
“奥駈道の奇蹟”として私の人生録に強く深く刻まれました・・・
さぁ、君の居場所へお帰り
君も、仕合わせものだね